相談事をするなら、断然年上の人がいいと思っている。
特に、キャリアとか生き方など、人生に関わる相談は年上に限る。
そう思う理由は、「年下には分からない時代を生きてきたから」だ。
自分より後に生まれた人は、当然ながらリアルタイムで体験した時間が私より短い。
だから、どうしても理解してもらえない時代感覚がある…
たとえば、以前私は20代の人に
「転職回数が多いから、あなたは社不だ」
と言われた。
※社不:社会不適合者のこと
そのときは「…そうかも」と思った。
たしかに、同年代の人の中でも転職回数は多い方だからだ。
しかし、後で考えてみると、その20代の人はおそらく「就職氷河期」を知らない。
言葉では知っていたかもしれないが、実際にどんな状態だったかは分かっていないだろう。
90年代後半〜2000年代前半の就職氷河期は、経験した人にしか分からない。
私は2001年に大学を卒業した。
あの頃、国立大学を出ても新卒で非正規になる人はゴロゴロいた。
優秀な人でも、名前も聞いたことのない中小企業に何とか入れた、なんて話はザラだった。
当時、大企業は軒並み採用を抑制した。
しかも、少ない採用はほとんど理系のみ。
(たとえば、某大手化粧品メーカーの採用人数が理系6人だけだった)
そんな中で、仕事を得るためには派遣だろうがバイトだろうが、やるしかなかったのだ。
若者を正社員にせず、非正規で使い潰す時代が、たしかにあったのだ。
そして、そのまま放置した。
今いる40代以上のスキルなし非正規おじさんおばさんは、国をあげて大人たちが若者を使い捨てた結果なのだ。
しかし、今の20代以下はそれを知らない。
だって今は、やる気さえあればいくらでも仕事がある時代だからだ。
そんな彼らは、彼らのものさしで人を判断する。
「40代で正社員の経験もないなんて、やる気なさすぎ」
→20代の頃は正社員の募集がなく、求人が増えた頃には年齢が高いとの理由で敬遠され、今に至るのに。
「10回以上も転職してるのは、本人に問題があるから」
→派遣や契約社員の期間満了で仕方なく職場を変えただけの人も多いのに。
こんなふうに、時代背景も考えず、他人の価値を決めつけるのだ。
これに気がついたとき、私は年下に相談するのをやめた…
もちろん、年下の方が詳しいこともある。
最新のテクノロジーとか、トレンドとか。
でもそんなものは、自分で調べればある程度は分かる。
検索しても出てこないことだからこそ、人に相談したいのだ。
それには、自分より長く生きている人に聞くしかない。
老害だの何だのと言われるが、長く生きてきた人の言葉は大切だと思っている。