「可愛さ余って憎さが百倍」
という言葉がある。
すごく好きだった人を一旦憎み始めると、憎しみがすごく強くなる、という意味だ。
先日これを経験した。
以前、あるSNSの発信者が好きだった。
ここでは仮に「Aさん」とする。
Aさんの発信は他の人とは違った。
独自の観点から鋭い指摘を飛ばしてくる。
他の影響力がある人、いわゆるインフルエンサーに忖度することもなく、自分の意見を貫く。
そういうところが、私の心を鷲掴みにしていたのだ。
私はAさんに強く影響された。
有料の教材を買ったことすらあった。
そのくらい、Aさんが好きだったし憧れていた。
ある日、Aさんが投稿の中でちょっとした仕事を募集していた。
「忙しくて手が回らないので、誰かやってくれないかな?」
みたいな、少しゆるめの募集だった。
私は「これはチャンスかもしれない」と思った。
もし採用されたら、Aさんの近くでその仕事ぶりを見ることができる。
憧れのAさんに少しでも近づけるかもしれない…
そう思ったので、自分の経歴などをまとめて、AさんにDMを送った。
とてもとても真剣に書いたのだ。
半日ほどして、Aさんから返信があった。
私は目を疑った。
そこにあったのは、およそ真剣に書いたとは思えないような文面だったからだ。
いや、むしろふざけているとしか思えなかった。
(ここでは詳しい文面は載せない)
それでも、しばらくはやり取りを続けた。
これがAさんなりの選考かもしれないと思ったから。
しかし、明らかにこちらを小馬鹿にした言葉を見たとき、我慢の限界に達した。
「舐めてんの?」
スマホの画面に向かって、思わず口に出して言っていた。
そして、私はメッセージのやり取りをやめたのだった…
思うに、Aさんは本気で仕事を募集してはいなかったのだろう。
ちょっと思いつきで出してみた。
そしたら本気にしたバカがいた。
だから、暇つぶしに遊んでやった。
きっとその程度の感覚だったろうと、今なら想像できる。
しかし、こちらは真剣だったし、それはAさんにも分かったと思う。
それでも、相手に向き合うこともなく、上から目線の態度だった。
このことに、私は心底がっかりしてしまった。
Aさんは、常日頃からこう言っていた。
「目の前の顧客に向き合え」
と。
私もAさんの商品を買っている顧客だ。
(そのことは、もちろんAさんも知っている)
しかし、この対応は…
「目の前の顧客と向き合う」とは正反対の行動だ。
たぶん、実際のAさんは顧客に向き合ったりなんかしていない。
本当は心の中でバカにして、見下していたんだろうな。
それが分かっただけでも、良かったのかもしれない。
これ以上、聞く価値のない言葉を聞かずに済んだのだから…
ということで、私はAさんのファンをやめた。
いや、むしろ大嫌いになった。
もうAさんに関わることはないし、商品を買うこともないだろう。
永遠にさようならだ。
そして、この経験から「ファンが離れる瞬間」が分かったように思う。
上から目線だったり、小馬鹿にしたりなど、相手を下に見ている態度が出ると確実に嫌われる。
そして、発言に責任を持たないのもダメだ。
特に今回は、採用する気もないのに仕事の募集をしていた。
こういうのは信頼を一気に失う。
私自身も、気をつけなければいけないと思った。
今日もAさんは「人の信頼を裏切るな」と発信していた。
表面から見ただけでは、人の本性は分からない。
近づいてみて初めて分かることもあるのだ。
苦い経験だったが、良い勉強になったと思う。
口のうまい人間には気をつけよう。