ミニマリストには「とにかく持ち物が少ない」というイメージがある。
服も生活用品も必要最小限、
家具もほとんどなくてガランとした部屋、
そして持ち物が少なければ少ないほどすごい、
みたいな。
でも、ただ持ち物が少ないだけで本当にミニマリストと言えるのか、私は疑問だった。
私が思うミニマリスト
私が考えるミニマリストとは、物理的な持ち物が少ないだけでなく、心の持ち物も少ない人だ。
言い換えると、「物事への執着が少ない」ということだろうか。
現在の日本でミニマリストとして発信している人には、持ち物へのこだわりが強い人が多いと感じる。
「持ち物が少ないからこそ、お気に入りのアイテムを持とう!」
という言葉、目にしたことのある人も多いだろう。
これを言う人は、本来は物が大好きで、物に対するこだわりや執着が強い。
本音ではたくさんの物を持ちたい。
けど、ミニマリストなので、それは無理。
だから、せめてお気に入りの物(たいてい高価な物である)を持とう。
こういう構図ではないだろうか。
つまり、見た目の持ち物は少ないが、心の中の執着(=心の荷物)が多いのだ。
私が目指すミニマリストとはかけ離れている。
物を減らす目的は?
そもそも、持ち物を減らすのは何のためか?
スッキリした部屋で暮らしたい、持ち物の管理に時間を取られたくない、探し物を減らしたい…
いろいろあるだろうが、結局は心のゆとりを求めている人が多いと思う。
それならば、物に対するこだわりも無くさなければ、穏やかな心を持つのはむずかしい。
例えば、たったひとつしか持っていない、お気に入りのカップを割ってしまっても、
「ま、いっか」
と思えるような、心の余裕があってこそ、本当のミニマリストだろう。
お気に入りのアイテムをなくして絶望したり、イライラしたりするのは、結局は物に支配されているということになる。
それは、たくさんの持ち物に悩まされるのと大して変わらないのではないだろうか。
物への執着を減らすには
では、物への執着やこだわりを少なくするには、どうすればいいのだろうか?
私が提案するのは、以下のことを理解して日々を過ごすことだ。
- 物はいつか壊れる
- 人は変わっていくものである
- 替えのきかない物はない
物はいつか壊れる
どんな物でも、いつかは古くなり、壊れて使えなくなる。
お気に入りの物でも、高価な物でも、例外はない。
なので、物にこだわり過ぎるのは現実的ではないのだ。
「これがなければ生きていけない」
「絶対に失いたくない」
などと思っていても、いつかは手放すときが確実に来る。
ならば、そばにあるときは精一杯大切にして、壊れてしまったら潔くお別れする。
それが、物との正しい付き合い方ではないだろうか。
人は変わっていくもの
時が経てば、物だけでなく人も変わる。
去年のお気に入りが今年はもう違う、ということ、ないだろうか?
また、若い頃は似合っていた服も、今着てみると全然似合わない、ということもよくあることだ。
このように、人は外見も心も常に変化している。
それに合わせて、持ち物が変わっていくのは当たり前。
だから、「一生もの」と思って買ったものでも、いつかは必要なくなる。
それならば、ひとつの物に固執せず、変化(=成長)していく自分に必要な物を持った方がいいだろう。
替えのきかない物はない
このように、物も人も時間と共に変わる。
「諸行無常」という言葉もあるように、全ての物事は変化し続け、同じ場所には留まらない。
それはあなたも私も同じだし、お気に入りのアイテムも同じこと。
ひとつの物に執着するのではなく、物との一期一会の出会いを楽しみたいと思う。
心の持ち物が少ない人を目指そう
今回は、物へのこだわりを減らしてミニマリストを目指そう、という話を書いてみた。
持ち物が少ないからミニマリスト、というのは表面的な考え方だと思う。
ミニマリズムの本質は、必要最小限の持ち物を持つことで、心の余裕を手に入れることだ。
つまり、心の荷物を減らすこと。
それには、物へのこだわりも減らさなければならない。
多くのものに心を煩わされるのと、ひとつのお気に入りの物に執着することは、「物に心を支配される」という面では同じこと。
物に心を支配されていては、心の余裕は持てない。
シンプルに生きたい、身軽に暮らしたいなら、心の持ち物が少ない、本物のミニマリストを目指そう。
