昨日は満月だった。
夕方、テレビの気象ニュースを見ていたら、気象予報士が言った。
「今日はフラワームーンです」
何だ、その断定口調は。
いや、分かってるよ。
ネイティブアメリカンの習慣では、5月の満月を「フラワームーン」って言うんだよね。
だけど、それはあくまでも彼らの文化である。
日本生まれ、日本育ちには、まったく馴染みのない、ピンとこない言い方だ。
それを
「今日はフラワームーンです」(断定)
って。
まるで「地球は太陽の周りを公転しています」みたいな、厳然たる事実のように言われてもね。
はぁ?としか思わない。
誤解のないように言っておくが、私はネイティブアメリカンが嫌いなわけではない。
そうではなく、「まだ文化として根付いていない、新しい知識(習慣)」をさも当然とばかりに押し付けてくる感じが、非常に不快だったのである。
これが「風薫る五月」って言われたら、「ああそうだよね」と腑に落ちる。
なぜなら、日本文化に根差した言葉だからだ。
逆にこの言葉を外国に持って行ったところで、現地の人に受け入れられるかは分からない。
歴史も気候も何もかも違うのだから、当然だ。
このように、文化が違えば感じ方も違う。
人々の感性も違う。
いくら良い言葉だったとしても、言葉だけ持って来たって意味がない。
その言葉の後ろにある、文化や歴史や感情を理解し、腑に落ちなければ、ダメなのである。
などと思った、満月の夜だった。